Works

Yg project  2024.05.02

Concept

ある企業様の保養施設兼宿泊施設。樹齢100年以上のフクギに守られている土地に築130年の伝統古民家が建っていました。再生を試みましたが劣化が激しく建て替えることに。 そのため佇まいを引き継ぎ、原風景をまもること、土地に根付く新しい形の木造の民家建築、沖縄文化の発信センターとしての役割も担う場所をご要望されました。

沖縄伝統古民家の大きな特徴である深い庇(雨端)と開放的な開口部は、耐力壁の減少と台風時の吹上にとても弱く、現在の木造住宅の構造仕様規定から外れるため、構造解析を行い、伝統木組み(仕口・接手)の在来に鉄骨の筋交いと梁を一部補強材として加えた構造を採用しました。

プランは沖縄伝統古民家の表座・裏座構成に、水回りを湿気対策としてRCボックスに包み、表座と裏座の間に配置。基礎は浸水災害対策として石場建てではなく、高床までをRCとしています。

当初、瓦はセメント瓦、壁はRC建築で使用した焼杉板型枠の再利用を予定していたのですが、3年間の設計期間中に見舞われたコロナ禍で、県内最後のセメント瓦生産者もついに高齢で作れなくなり、外壁材の倉庫確保も難しく、県外材に落ち着きました。

古井戸から引いた水盤は、ビオトープとしてこの土地の利用者に再び恵みをもたらします。大きなフクギと深い雨端、開放的な開口、沖縄の要素を取り入れた新しい木造民家。 悠久の歴史に想いを馳せ、ゆったりとした時間を感じる場所を目指しました。

イメージCGを見る→