Project

沖縄建築士会主催設計コンペ2013
社団法人 沖縄県教職員共済会本部会館  2013.05.28

沖縄の教育・文化の振興発展ならびに教職員共済の諸事業を行うことを目的とした施設。 現職会員の給付貸付事業に加え退職後の公的年金を補完し退職後の健康な暮らしと生きがい教職者の生涯福祉を目指している施設です。

今回老朽化による建て替えに際し、教職員等関連団体への事務所賃貸、大ホールを含めた集合施設も併用し下記の条件を求められました。

  1. 集い、学び、会議しながら交歓する会館
  2. 広く開かれた会館
  3. 生涯福祉の拠点

Concept

クシユクイ。

“クシユクイ”とは、腰ゆくい=腰をゆっくりさせる、という意味で昔の沖縄の田畑のある地域ではどこでも行われていた行事です。農業の仕事が一段落し無事収穫も終わったから皆様お疲れ様でした。共に遊びましょう、という労いの意味があります。
現在では北部の一部の地域にその名残がみられ、年に一度の地域世代間交流の行事となっております。

教職という大きな仕事を終えて次への新たな収穫の活力を得るために自然と共生し利用者が心から安らげるように、クシユクイ的な空間を目指しました。

集い、学び、会議しながら交歓する会館として
  • 駐車場を地下に納め既存庭に加え新たに南側に大きな庭空間を新設することで緑豊かな憩いの場、屋外レクも行える場を確保しました。
  • 涼を感じさせる水盤(雨水利用)、腰を休める大きな庇の半戸外空間、そしてその先の緑豊かな広場。利用者だけでなく国際通りからの散策者含めて人を虜み自然と共生し人の集まる施設を目指しました。
  • 食堂階を地上階に設置し外部とつなげることで半戸外アプローチや新設庭を観念的ではなく実質的な有効利用を可能にしています。
  • 食堂への材料搬入経路を考慮し人荷用EVは一般用EVと分離し大ホール・会議室への配膳も容易に行えるように計画しています。
広く開かれた会館として
  • 地域や周辺とのつながりを考慮してアプローチを路地(前面道路)へ開き低層階とすることで圧迫感のない街並み景観(タウンスケープ)に配慮しています。
  • 造計算時の重要度係数を1.25とし災害に強い施設とし日常は憩いの場としての庭は災害時には防災緑地広場となる計画をしています。
生涯福祉の拠点として
  • 高齢者や身障者利用を考慮し全フロア及び全広場バリアフリーアクセスになっています。
  • 利用者の心理的負担を軽減するための配慮として待ち時間に利用できる屋外テラスを執務階に設置。プライバシーの求められる部屋は最上階奥へ配置しました。
  • 業務が円滑に行われるために事務所を同一階に配置し各部門を取り外しフレキシブルな間取り構成を採用しています。
  • 維持管理を考慮して水廻りEV等設備機械室を北西にコンパクトに配置しています。
  • 省エネ対策として、屋上緑化と太陽光パネルを採用。自然の風を得るために南側に最大限に開き西日を遮るルーバーを設置しました。屋内仕切りもルーバー形状とし建物に視自然の風が抜ける工夫をしています。
最後に

戦後の沖縄の建物はコンクリート造と共に歩んで参りました。 固有の風土や自然文化を現代の普遍的な素材や技術に取込む努力を引続き継承してゆきたいと考えています。

パース(正面エントランスイメージ)

正面エントランスイメージ

パース(ヴォリュームイメージ)

ヴォリュームイメージ

パース(半屋外空間イメージ)

半屋外空間イメージ

パース(中庭イメージ)

中庭イメージ

模型(鳥瞰イメージ

南面鳥瞰イメージ(左)・東側鳥瞰イメージ(右)

模型(鳥瞰イメージ)

西側鳥瞰イメージ(左)・北側鳥瞰イメージ(右)